先日、不動産オーナーである顧問先より、「賃貸借契約において合意更新をしなければ、更新料の請求はできないのでしょうか。」との質問を受けました。
まず、更新料の請求については、その支払義務について賃貸借契約書にて明記しておく必要があります。
この点、裁判例では、一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、有効であると判断されています(最判平成23年7月15日)。
もっとも、賃貸借契約の「更新」については、複数のパターンがあることに注意が必要です。
大きく分けますと、当事者の意思の合致があるパターン(合意更新)とないパターン(法定更新)です。
そのため、更新料の支払合意があったとしても、それが法定更新の場合にも適用されるのかが問題となります。
この点、当事者の意思解釈の問題ですので、裁判例においても、ケースバイケースで判断が分かれています(東京地判平成22年8月26日、東京地判平成22年7月16日)。
そのため、不動産オーナー側からの視点としては、賃貸借契約書において「法的更新の場合であっても更新料が発生する」ことを明記しておくとベターです。
この点、最高裁は、法定更新の場合でも更新料が発生する旨の条項が規定されていたケースにおいて、当該条項は消費者契約法10条に照らして無効と解することはできないものと判示しています(最判平成23年7月15日)。
法定更新と更新料


