今回は、「株主提案への実務対応」についてです。
先日、顧問先より、「株主総会において敵対株主の出席が予想されるのですが、どのように対応したらよいでしょうか。」との質問を受けました。
株主総会において適切に対応するためには様々な考慮が必要ですが、今回は株主提案に絞って説明いたします。
株主提案は、近年ごく普通の企業においても生じる問題になりつつあります。
一般的に株主総会は、会社側で会議の目的事項(議題)及びその提案内容(議案)を決定します。
しかし、それだけでは株主は会社提案に対する賛否の意思表示ができるだけで、株主側から提案したい事項があっても、株主総会に付議することができません。
そこで、会社法は、議案提案権(会社法304条)を規定し、株主に一定の権利を与えています(その他に議題提案権等もありますが、今回は割愛します)。
議案提案権については、既に会社が会議の目的事項と定めた議題に関して、株主総会の議場で「修正動議」を提出するという形で行使することもできます。
しかし、修正動議は、既に会議の目的事項となっている議題(すなわち会社提案に係る議題)に対してしか提出できない点には注意が必要です。
また、一般株主が通常予測し得る範囲を超えた修正を提案することはできません。
もっとも、適法な株主提案が提出された場合には、取締役はこれを採り上げて株主総会に付議しなければなりません。
進行につき違法性があり、「決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき」(会社法831条1項1号)に該当する場合には、株主総会の取消原因になる可能性があるからです。
そのため、多くの企業では(主に上場会社では)、株式取扱規則において株主提案の方式・手続に関する定めを置いていることが多いです。
この点、実務的には、手続的管理の側面から、株主提案は書面で行う旨の定めは規定しておいた方がベターといえます。
以上の通りですが、株主提案への実務対応について、少しでもご参考になりましたら幸いです。


