今回は「職場における逆パワハラ」についてです。

先日、弁護士ドットコムより依頼を受けまして、「職場における逆パワハラ」についてウェブ上でコメントしました。
飲み会で「残飯強要」、書類をシュレッダーに…後輩からの「逆パワハラ」対応法は?

同URLでは紙幅の都合上、パワハラの該当性等について簡単な説明にとどめましたが、以下、より詳しいコメントをさせて頂きます。

まず、ハラスメントの定義として、厚労省は、パワハラを「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しています。

より具体的には、「職務上の地位の優位性」に基づいて、業務の適正な範囲を超えた苦痛を与える行為を行う場合のみならず、「人間関係などの優位性」に基づいて業務の適正な範囲を超えた苦痛を与える行為についても「パワハラ」に該当しうるとされています。

そのため、職場の「部下」による嫌がらせ行為も、業務の適正な範囲を超え、精神的・肉体的苦痛を与えているのであれば、パワハラに該当しうると言えます。

そして、パワハラによる嫌がらせが受忍限度を超えていれば、一般的な不法行為に基づく損害賠償請求が認められることはあるでしょう。
但し、法的責任が認められるのは、あくまで業務関連行為ですので、職場の仲間との飲み会などは、単なる懇親の一機会に過ぎないとされる可能性もある点には注意が必要です。

最後に、パワハラがあった場合、会社としてどのように対応すべきかという点が問題になります。

会社としては、安全配慮義務の一環として、職場環境を調整しなければならない義務があります。
そのため、会社としては、労働者の相談には真摯に対応しなければなりません。

仮に、会社として真摯な対応を怠った場合には、上記義務に違反したとして、損害賠償責任などを負う可能性がありますので、報告を受けた場合には、適切に対応すべき義務があることに注意が必要です。

職場における逆パワハラ
電話をかける