先日、顧問先より、「仕入先が破産したようですが、当社からの未払いの代金については、どのように支払えばよいのでしょうか。」との質問を受けました。

破産手続が開始すると、破産会社の財産に関する管理処分権限は、破産管財人に帰属します(破産法78条1項)。
そのため、破産手続開始後において、債務者が破産会社に未払金を支払ったとしても、その効力を破産管財人には主張できないのが原則です(破産法47条1項)。

そうしますと、仮に破産会社に支払ってしまった場合には、破産管財人に対する支払いもしなければならない可能性が生じ、二重払いのリスクを負うことになってしまいます。
破産手続が開始されていることを知っていた場合には、原則として破産管財人に対して支払義務を負いますので注意が必要です。

上記とは異なる状況として、破産会社に対する支払債務について、税務署からの差し押さえを受けることもあります。
この場合、税務署と破産管財人のどちらに支払うべきかについて判断する必要が生じます。

まず、原則としては、破産手続開始時に、強制執行や仮差押えがされていたとしても、これらは破産手続開始決定によりその効力を失います(破産法42条2項)。

しかし、国税滞納処分が既になされている場合には、上記の例外として、破産手続開始決定がされたとしても、滞納処分は継続するものとされています(破産法43条2項)。
そのため、この場合には、管財人ではなく、税務署に対して支払義務を負うことになります。

上記のように、取引先の破産は突発的に生じる上に、支払先については悩ましいケースもあり、状況に応じた適切な判断が必要です。

破産会社に対する支払債務
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