今回は、「所在不明株主の取り扱い」についてです。
先日、顧問先から、「株主と連絡がつかなくなってしまった場合、その株主が持っている株式をどのように処理すればよいのでしょうか。」という相談を受けました。

会社側からすれば、例えば、株主総会を招集するために各株主へ招集通知を発送しなければならず(会社法299条)、連絡が取れない株主を放置しておくわけにもいきません。
そこで、上記のような状況を回避するため、所在不明株主の株式の競売・売却制度が認められています(会社法197条)。

具体的に同制度を利用するためには、株式を所有する株主との公平の観点から、以下の2つの要件を充たすことが求められています。

・株主に対してする通知又は催告が、5年以上継続して到達しなかったこと
・株主が、継続して5年間剰余金の配当を受領しなかったこと

また、実際の売却場面において、市場価格のない株式については裁判所の許可が必要となる点にも注意が必要です。

この点、裁判所のHPが大変参考になります。
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/dai8bu_osirase/fumei_kabunusi/index.html

上記のような手続を経て、所在不明株主の株式の処分方法として、競売か売却等が選択され、3ヵ月以上の異議申述期間満了をもって、株券は無効となることになります(会社法198条)。

以上の通りですので、所在不明株主がいる場合には、継続した通知や配当を行う等、法律に則った手続を経た上で、上記法的手続を進めていくことになります。

所在不明株主の取り扱い
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