先日、会社から依頼を受けて、自社ビル建替えを目的とする銀行との融資交渉に立ち会いました。

特に大手銀行から融資を受ける場合には、定型的な契約文言で判断されることも多く、交渉に弁護士が立ち会う必要性について疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、融資の金額が大きく、銀行にとってもメリットの大きい取引の場合には、契約内容について柔軟に交渉する余地はあります。

例えば、今回は、契約書上は依頼会社の責任が相当広く課されていたため、その点を当職から指摘すると、「契約書の文言は変更できませんが、実際には責任は追及しませんよ。」という話も口頭ではありました。
特に、「私たちは銀行という社会的使命をもった機関である以上、口約束かもしれませんが守らないはずはありません」とも言われました。

おそらく融資担当者自身は本当に口約束を否定するつもりはないのでしょう。
しかし、後日、紛争になった場合にも、融資担当者が銀行の利益に反する行動をしてくれる保証は全くありません。

また、あくまで口頭ではなく、文書が正式なものであり、担当者の裁量の範囲を超えた約束をしたことで個人責任を追及できたとしても実質的意味はありません。

そこで、特に担当者の口頭での約束は必要ないから、銀行として約束できる点のみを書面化していくこと等を粘り強く交渉していきました。

本件の具体例のように、銀行のような大きな取引相手に対しても、必要に応じて契約締結交渉を行うことはできます。

特に金額や責任の大きな契約において、細かな点であったとしても内容と認識にズレがあると、大きなトラブルを招きやすくなってしまいます。

後日の法的リスクを回避する意味でも、契約締結交渉の当初から弁護士同席のもとで進めていく方法も選択肢としてあることを今回紹介させて頂きました。

銀行との契約締結交渉
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