株券電子化に伴う法的問題として質権設定がございます。

特に株券を相手方に渡す方法で質権を設定している場合(略式質)、株主名簿に権利関係が登録されていません。
そのため、担保として管理していた株券の担保価値を実質的に失う可能性がございます。

そこで、株券電子化に向けて新たに質権設定の手続を行う必要があります。
具体的には、質権者(債権者)が証券会社に「質権口(債権欄)」を開設し、質権設 定者(債務者)が自身の「保有口」から質権者の「質権口」へ株式を移行させます。
上記手続は、株券電子化の前・後いずれのタイミングでも行うことができます。

この点、現行法では、質権者が質権の対象としている株券を自ら預託することが認められていません。
そこで、質権者は一旦質権設定者に株券を返還し、その上で質権設定者が株券を預託し上記手続を行います。

なお、質権設定者の協力が得られない場合、一斉施行日の1ヶ月から2週間前は質権者も預託可能との特例措置を活用することもできます。

株券電子化に伴うトラブルを避けるためにも、一斉施行の前に、質権設定者との協議を進めることをお勧め致します。

株券電子化と質権設定
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