今回は、「復職可否の判断と主治医への確認等」についてです。
先日、顧問先より、「休職中の社員から、休職期間満了間近になって、治癒した(復職可)という主治医による診断書が提出されました。どのように対応したらよいでしょうか」との質問を受けました。

最近、精神的不調を訴え休職等をする従業員の方に関するご相談が増えています。
この点、復職可否の判断については、医師の診断書が重要な考慮要素の一つになることは間違いありません。

他方で、主治医の判断は、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで考慮していない可能性があり、労働者(患者)や家族の希望が考慮されている場合もあることには注意が必要です。
裁判例においても、「主治医は患者の治療を任務としており、患者の職場の実情には通じておらず、復職した場合に債務の本旨に従った労務提供が可能なのか・・・といった観点からの検討はしない立場にあり、復職可能との主治医の診断書の存在をもって就業可能との立証がされたとはいえない」と判断されたものがあります(東京地判令和6年5月28日)。
また、復職可能とする主治医の診断書について、職場での業務遂行能力までは考慮していないという趣旨で、「医学的に軽快したということが理由と考えざるを得ない」と判断されたものもあります(横浜地決平成27年1月14日)。

そのため、主治医の診断書については、単に結論のみを参考とすべきではなく、判断過程等についても十分なヒアリングを行った方が間違いなくベターと言えます。
裁判例においても、使用者が主治医から治療経過や回復可能性等について意見を聴取しておらず、一度も問合せ等をしなかったケースにおいて、メンタルヘルス対策の在り方としての不備があるとして、解雇の相当性を欠くものとされたものもあります(東京地判平成22年3月24日)。

その上で、主治医との面談については、個人情報及びプライバシー保護の観点から、患者である労働者本人が同意している場合には可能と考えるべきでしょう。
職場で求められる業務遂行能力について十分に説明した上で、これらを前提にフルタイムでの復帰が可能か、残業はさせない方がよいか、再発可能性はないか等についても個別具体的に判断を求めておくとベターです。
また主治医の診断書については、産業医による精査を行った上で、産業医から主治医に対して意見照会等を行うことも重要な対応と言えるでしょう。

以上の通りですが、少しでもご参考になりましたら幸いです。

復職可否の判断と主治医への確認等
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