今回は、「請負の契約不適合責任」(改正民法)についてです。

先日、顧問先より、「改正民法によって、請負契約の瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更されたようですが、請負人の立場ではどのような影響を受けるのでしょうか。」との質問を受けました。
改正民法の施行日(2020年4月1日)が迫ってきているため、上記のようなご質問を受けることも増えてきました。

今回は、改正民法における「契約不適合責任」について簡単にポイントを絞って説明させて頂きます。
下記は、請負人の立場から見た注意点です。

いわゆる「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」という名称に変更になりました。
責任の中身についても変更が生じています。

大きな視点で言えば、担保責任が発生するかどうかは「瑕疵の有無」ではなく、「契約に適合しているかどうか」で判断されることになります。
そのため、旧法時よりも重要になるのが、「契約の目的」は何かという点です。
契約書において、契約の締結に至った背景や経緯等を具体的に明記しておくことが重要となります。

また、仕事の目的物が「契約内容に適合しない」場合には、注文者としては、損害賠償請求権、解除権のみならず、瑕疵修補請求権(改正民法559条・562条)、報酬減額請求権(改正民法559条・563条)についても、ある程度自由に行使することが可能になります。
請負人としては、注文者が複数の選択肢を有することによって、不利益を被るリスクがあります。
そのため、担保責任の内容を「修補」に限定したり(追完として代替物を納めることを含まない)、代金減額請求権の行使ができないことを明確にしておくという対応も考えられます。

「契約不適合責任」の骨子について簡単に説明させて頂きましたが、請負契約を締結されている企業におきましては、十分にご注意下さい。

請負の契約不適合責任(改正民法)
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