今回は「会社の解散の訴え」についてです。

顧問先より、「株主同士で仲違いしてしまって、業務決定が全く進まないのですが、何か良い手段はありませんか。」と相談がありました。
創業社長の死亡に基づく相続によって、お互いに半分の支配権を持ったことが原因ですが、まさにデッドロック状態に陥ってしまっていました。

上記のようなデッドロック状態を解消する手段として、会社法には「解散の訴え」手続があります。
解散の訴えとは、会社法上「会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、または生ずるおそれがあるとき」で「やむを得ない事由があるとき」に認められています。

平成28年、東京地方裁判所は、「会社が業務の執行において著しく困難な状況」について、「株主や取締役が等分で対立していて、相互の対立が極めて強く、取締役の改選をしても業務の停滞が改善されない、または取締役の改選自体が困難な場合」が該当すると判示しました。
また、「やむを得ない事由」についても、「株主間の不和等を原因として、会社の正常な運営に必要な意思決定ができないために、業務の継続が不可能となり、会社の存続自体が無意味となるほどに達しているときに、会社維持の観点から解散をしないで別の公正かつ相当な方法でその状況を打開することができない場合」と判断しています。

本判決は、従前より広く解散の訴えを認める判決と評価されていますが、解散判決は「最後の救済手段」という裁判所の基本姿勢に変化はないでしょう。
解散の訴え制度があるとはいえ、会社を解散してしまうわけですから、最後の救済手段であることは間違いありません。

そこで、事前にデッドロックの解消方法(経営者として第三者を定めたり、事前に売り渡し条項を定める等)を契約で定めておくことは非常に有用です。
相続はいつ誰にでも発生する可能性がありますので、この点は十分に検討しておくことをお勧め致します。

なお、最近は、顧問先会社において、社内コンプライアンス研修の講師として、情報漏洩やセクハラ・パワハラ等の講義をさせて頂くことも多いので、必要がありましたら遠慮なく仰って下さい。

会社の解散の訴え
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