先日、顧問先より、「会社保有の重要な財産を他社に処分したいのですが、どのような手続が必要でしょうか。」という相談を受けました。

会社法上要求されている手続として、「重要な財産処分」に該当するかという判断にあたって検討すべき要素が幾つかありますので、順を追って説明します。

まず、会社の保有財産が「重要な財産の処分」に該当する場合には、取締役単独で行うことができず、取締役会決議が必要になります(会社法362条4項1号)。

この点、会社法上「重要な財産の処分」に該当するための判断要素について、判例は「当該財産の価額、その会社の総資産に締める割合、当該財産の保有目的、処分行為の態様および会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断される」としています。

例えば、「当該財産の価額、その会社の総資産に締める割合」という点については、財産価額が高額であればあるほど、「重要な財産の処分」と判断されます。
裁判例によって幅はありますが、総資産の1%を超える財産については「重要な財産」と評価されることが多いようです。

次に、「当該財産の保有目的」については、株式は、会社の支配権維持の目的等、会社の組織関係に影響を与えるおそれが大きいため、「重要な財産の処分」に該当すると判断されやすいといえます。
また、「処分行為の態様」については、対価を得ない贈与の方が、売買に比べて、「重要な財産の処分」に該当しやすいと言えるでしょう。

さらに、「会社における従来の取扱い」については、副次的な判断要素と言われています。
会社に財産処分についての慣行がある場合、同慣行に則り、取締役会決議が不要とされる場合もあります。
しかし、あくまで副次的な判断要素に過ぎないので、基本的には、上記判断要素により「重要な財産の処分」に該当するか否か判断されることになります。

以上の通り、判例は種々の事情を総合考慮していますので、処分財産が低額であったとしても、「重要な財産の処分」に該当しないわけではないことに十分に注意が必要です。
また、会社の重要な財産を処分する場合には、適正な手続が求められている点にも注意しておく必要があります。
そのため、会社にとって重要な財産の処分に該当しそうな場合には、上記の手続も含めて十分に精査した上で取引を進めるべきと言えます。

会社の重要な財産処分行為
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