顧問先より、退職した従業員から未払い残業代の請求を受けてしまい、「付加金制度によって2倍支払わなければならない」と請求されていますが、本当なのでしょうかという相談を受けました。

この点、後述する労働基準法によって、残業代等の賃金未払いがある場合において、付加金制度は確かに認められています(労基法114条)。

しかし、 付加金制度について誤解されやすいポイントとして、付加金の支払いを命じることができるのは裁判所のみという点があります。

すなわち、付加金の支払義務は、あくまで裁判所の裁量に過ぎず、労基法の規定により当然に生じるものではないことに注意が必要です。

そして、現状の裁判所の取り扱いとしては、会社の対応が極めて悪質と評価された場合に限ってのみ付加金が課されているようです。

以上の通りですので、労働時間を適正に管理するとともに、付加金制度についての正しい理解も必要ではないかと存じます。

企業経営者の皆様においては、労使問題を始めとして多様な法律問題を抱えていらっしゃると存じますが、企業経営上の法律問題など少しでも不安要素がありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

労働基準法第114条
「裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払い金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は違反のあったときから2年以内にしなければならない。」

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