先日、弁護士ドットコムより依頼を受け、会社の「給与明細」を ウェブ上の「退職エントリ」で公開しても法的に問題ありませんかという点の回答をしました。

退職エントリとは、退職に至った経緯が書かれたブログ等のことで、会社の雰囲気や労働環境を知ることができますが、給与明細書まで掲載されているものもあります。
会社のコンプライアンスや機密保持義務に反しないのか法的に気になるところです。

この点、自らではなく、他人の給与明細を承諾なく公開した場合には、プライバシー侵害の問題になることは間違いありません。
しかし、『自分』の給与明細であれば、プライバシー侵害とは関係なく、表現の自由として許される範囲が広いと考えられます。

但し、退職エントリにおいては、自分の給与額が幾らかという点が 主な公開目的ではない場合があります。
具体的には、会社に対するネガティブキャンペーンの趣旨が含まれている場合です。
「こんな安い給料でこき使われるのはおかしい。業務内容も〇〇」と書かれている場合があります。

そうなりますと、会社の名誉や評判を貶める目的の一環で、給与明細を公開しているに過ぎず、ブログの文言も含めて正当性がなければ、会社に対する名誉毀損や機密保持義務違反に該当しうる可能性もあるでしょう。
会社の保護すべき社会的評価を貶めたり、他の従業員のプライバシーへの配慮が足りない場合には、違法と評価される可能性が全くないとは言えないはずです。
あくまで自分の情報なので表現の自由として許される範囲は広いでしょうが、その方法には十分な注意が必要であると考えます。

上記のような内容で、下記URLにて、弁護士ドットコムやYahoo!ニュースに掲載されていますので、少しでも皆様のご参考になりましたら幸いです。

http://www.bengo4.com/roudou/n_3410/

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150719-00003410-bengocom-soci

退職エントリと給与明細の公開
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