2007年9月アーカイブ
事業譲渡や合併等、株主総会の特別決議が必要な組織再編が生じた場合、議決権の有 無に関わらず、反対株主には株式買取請求権が認められます(会社法469、785条 等)。そして、会社は株式を「公正な価格」で買い取る義務を負うことになります。 この点、買取価格について旧商法では、組織再編がなければ有したであろう公正な価 格(旧商法245条の2)と規定していましたが、現行法では、実務上、上記価格に限ら ず、組織再編による相乗効果の分配も含めて算定するものと解釈されています。 この様に、株式買取価格の算定方法の選択肢が広がったことにより、会社と株主間の 買取価格の協議が調わず、裁判所での価格決定を申立てるケースが増えることも予想 されます。
申立手続としては、まず会社が組織再編の効力発生日の20日前までに、その旨を株主 に通知します。当該再編に反対の株主は、株式買取請求権を行使し、会社との間で買 取価格を協議します。効力発生日から30日以内に協議が調わなかった場合、株主は裁 判所に対して買取価格決定の申立てをすることができます。なお、申立期間は協議期 間満了後30日以内です。
上記手続を踏めば、裁判所に公正な価格を決定してもらうことができますが、実情と しては、鑑定人費用の負担や会社側の資料開示等の問題で価格決定が難航しているよ うです。 しかし、今後事例の増加に伴い、より公正な価格決定がされていくことが期待されて います。また、企業側は、株主に対して適正価格を提示することが求められていくこ とが予想されますので、今後の動向を注視する必要があるものと存じます。
先日、日経新聞の記者の方と「販売してから30年以上経過後、三洋電機製の扇風機が 発火し死亡してしまった」事件に関して、製造物責任法等の話をする機会がありまし た。 上記事件について9月1日の日経新聞に当職の意見が掲載されていますが、原則として 三洋電機に法的責任はありません。PL法の10年の消滅時効がその理由ですが、果たし て企業の社会的責任としても十分なのかという点が議論になりました。
この点、半永久的に企業に責任を負わせることは現実的ではありませんが、一定年数 が経過した後に発火しても、企業は一切関係ないとの姿勢で問題がないとは言えない はずです。 そのため、経済産業省は「販売から約10年後に、点検時期を利用者に通知することを 義務付ける」方針を固めたとのことです(日経新聞9月9日)。
しかし、上記方針によっても、実際に10年後にメーカーが利用者へ通知できるかとい う現実的な問題が残るでしょう。 すなわち、10年後に利用者が転居していた場合、メーカー側は利用者へアクセスでき ません。 また、引越しの都度メーカーへ住所を届け出る義務を利用者へ課したとしても、全員 が失念することなく届出をできるでしょうか。 他方、個人情報保護法施行後、利用者が住所等の個人情報を届け出ることに消極的な 場合も多く、メーカー側に強制的に住所等を取得させることも現実的ではありませ ん。
これらの状況からすると、メーカーに社会的責任を負わせることはもちろん、今後は 消費者にとっても自らの利益を守るために住所を忘れずに届け出るなど、双方の努力 が必要になってくるのではないかと考えます。














